スポーツ中のみならず、日常生活で身体を動かす様々なシーンにおいても発生リスクが見られる外傷の1つ・捻挫。
それはどのような症状のケガなのでしょうか?そして捻挫になってしまった際の対処法とは?また、捻挫に対する予防策としてどのようなことが考えられるでしょうか?
それらについて調べていきたいと思います。
捻挫の原因
外力により足首や指などの関節部分をひねって痛めてしまうタイプのケガ、それが捻挫です。主な症状としては患部の痛みや腫れが見られます。重度の場合ではそれらに加え、関節の接合が不安定な状態ともなります。
捻挫が生じたとき、関節の内部ではどのようなことが起こっているのでしょうか。関節の仕組みを基に見ていきましょう。
骨と骨を連結させる部分であり、可動箇所ともなる関節。それは関節包という袋状の器官で覆われています。その中には骨同士の接触箇所に当たる軟骨があり、潤滑剤の働きをなす関節液で満たされています。これらの働きにより、摩擦などの負荷の影響を受けることなく関節がスムーズに動かせるわけです。
関節包の外側には骨同士を繋ぐ筋が2種あります。そのうちの1つである靭帯は、関節を支える役割を果たしています。もう1方の腱は、骨と筋肉を繋ぎ筋肉の運動をサポートする働きを担っています。
それらの器官および組織で構成されている関節に不自然な形で外力が加わり、損傷を被った状態が捻挫です。靭帯や関節包が炎症を起こし、周辺の血管からの内出血により腫れが生じます。
靭帯の損傷度合いによって、捻挫は3段階に分類されます。
最も軽い1度では、靭帯が一時的に伸びた状態であり、痛みや腫れが軽度な場合が主です。
もう1段階上の2度は、靭帯の一部が切れた状態を指します。
さらに上の3度では、靭帯が完全に切れた靭帯断裂の状態となり、関節の支えが不安定となります。
また、ひねった際の力の加わり方によっては、腱や筋肉にもダメージが及ぶケースが見られます。
捻挫の原因
関節に強い外力が加わることで生じる捻挫は、身体中のあらゆる関節部に起こりうるケガです。同じタイプのケガを指に受けた場合には突き指と呼びますが、それも捻挫の一種に含まれます。
捻挫発症の危険性は、スポーツなどの運動中にのみ見られるわけではありません。足を踏み外してひねる、ものにぶつかる、高低差のある箇所から転落する、などなど、日常生活のあらゆる場面に潜んでいます。
それらは不意の事故などによって引き起こされる場合もあるでしょう。その一方で、身体能力の衰えが危険を招く原因ともなります。
いざという時の応急処置
捻挫を含む様々なケガに対して、「RICE」という応急処置の考え方が有効です。これは応急処置の基本的処置である、安静(Rest)・冷却(Icing)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)の頭文字4つを意味しています。
それぞれの意味について見ていきましょう。
1.安静(Rest)
ケガ発生時、まずは安静にすることを意味します。むやみに患部を動かさず、場合によっては添え木などの処置をとることが大切です。
2.冷却(Icing)
患部を氷などで冷やすことを意味します。患部を冷却することで毛細血管を収縮させ、腫れなどの内出血や痛みを抑えられます。
3.圧迫(Compression)
患部にテーピングなどを施し、内出血を最小限に抑える処置です。きつく圧迫しすぎると血流や神経に弊害をもたらす恐れがあるため、しびれや変色などが見られる場合直ちに緩めるなどの対応が必要です。
4.挙上(Elevation)
患部を心臓より高い位置に保つことを意味します。患部への過剰な血流を防ぎ、内出血を抑える効果があります。
RICEに照らし合わせた捻挫の応急処置としては、以下の通りです。
捻挫した箇所は動かさず安静を保ちます。直ちに痛みや腫れ具合、骨折の有無を確認し、患部を冷やし、固定します。このような応急処置を施した後、すみやかに医療機関への受診など、適切な治療を受けることが重要です。
予防のための対策
スポーツを行う際、捻挫などのケガ防止策としては、事前の柔軟運動などのウォーミングアップや、関節部を保護するサポーターやテーピングの使用が有効です。
では、日常生活においてのリスクには、どのように対応していけば良いでしょうか?
有効な手段としては、身体機能とくに運動能力の向上です。それによって、関節に不自然な形で力が加わってしまうのを避け、捻挫のリスクを下げることが可能となります。
それにはまず、正しい姿勢を保つことと、バランス能力を身に付けることが重要です。 正しい姿勢を保持するにはストレッチ、バランス能力を養うにはバランストレーニングが有効と言えるでしょう。
ストレッチ
日常生活にストレッチを行う習慣を取り入れれば、身体の柔軟性が保たれます。それに伴い姿勢の正しさも確保され、体勢の不安定さから転倒などを引き起こしてしまうリスクも減らせるでしょう。
バランストレーニング
身体を動かしている際のバランスを維持し、体勢の崩れをすばやく立て直す能力。それがバランス能力の意味するところです。平衡感覚を保つことで、ケガに結びつく危険の回避率が高められるでしょう。
初歩的かつシンプルなトレーニング法としては、「目を閉じての片足立ち」や「目を閉じたまま後ろ歩き」などが挙げられます。また、上に乗るだけでバランス能力が鍛えられるバランスボードなどのトレーニング機具を利用することも有効です。
まとめ
以上のように、関節に大きな負荷が加わることで生じてしまう捻挫発生のメカニズムを確認しながら、発症時の処置や発生防止策について確認してまいりました。応急措置として有効なRICEの考え方を身に付けておけばいざという時に適切に対応できるでしょう。
また、日常生活での発生リスクを下げるため、ストレッチやバランストレーニングで身体運動機能を維持させたいところです。