デスクワークがメインとなるオフィス業務。パソコンに向かいながら長時間作業していると、首や肩回り・腰などに痛みや凝りが生じてくるものです。
酷くなると作業効率の低下に繋がりかねず、なんとか解消したいところ。なぜデスクワークで凝りなどの症状が出るのか?予防や症状軽減策は?そういったところについて見ていきたいと思います。
デスクワークの首・肩・腰の痛みの原因
デスクワークでは、パソコンを使った業務など、長時間同じ姿勢を取り続ける作業が主となるかと思われます。そのような作業を継続していると、次第に現れてくるのが、首・肩・腰の凝りや痛み。そのような症状に悩まされている方は少なくありません。
座って行う作業は、身体にあまり負担が掛かっていないように思えるでしょう。しかしなぜ、着席状態がメインのデスクワークで凝りや痛みが生じてしまうのでしょうか?
凝りや痛みのそもそもの発端は、筋肉が緊張しこわばる状態となってしまうところにあります。それは、運動に伴う消費エネルギーの大小に関わりなく、座ったままの状態でも生じ得るものです。そのため、運動量が少ないデスクワークでも凝りや痛みが発生することになります。むしろ、身体を動かす機会が少ないデスクワークだからこそ、症状が現れやすいと言えるでしょう。
凝りおよびそれに伴う痛みが生じるメカニズムについて見ていきましょう。
長い時間同じ体勢を取り続けていると、次第に筋肉に疲労物質である乳酸が蓄積され、それに伴い緊張しこわばった状態となってきます。椅子に座った状態で仕事などに集中している場合、こわばりが生じる箇所は動かす頻度の少ない首や肩・腰回りの筋肉ということになるでしょう。
筋肉がこわばると、その周辺の血管を圧迫し、血流の悪化を引き起こします。
血管内を流れる血液の役割の1つは、酸素をはじめ生命活動に欠かせない物質を全身に運搬することです。しかし血流が悪化した部分があると、その箇所では血液からの物質が充分に供給されません。それは筋肉のこわばりによる血流悪化でも同様です。
筋肉が緊張して血管を圧縮させると、血液がスムーズに流れにくくなります。そうなると、筋肉は疲労を示す乳酸を解消するための供給が充分に受けられず、さらに疲労が蓄積されることになります。するとなお一層筋肉が硬くなって血管を圧迫し、より血流が滞ってしまいます。
このように、言うなれば筋肉疲労の負のスパイラル状態に陥ってしまうことで、凝りや痛みの症状が現れるわけです。
予防する方法
前項から、首・肩・腰に生じる凝りや痛みの原因には血行不良があることを確認しました。それを踏まえることで、凝りや痛みの予防策が見出せることでしょう。つまり、血流を良好な状態に保つ方策を立てることで、デスクワークに伴う凝りや痛みの回避に繋げられるというわけです。
では、首・肩・腰の血行を良くする方法としては、どのようなものが挙げられるでしょうか?
対策の1つとしては、作業中の姿勢を良くするとこが挙げられます。パソコンを使用する場合では、身体に不自然な負荷を掛けてしまう体勢を取りがちになってしまうものです。
例えば、画面を見るために頭部が前のめりになったりするのもその1つです。そのような姿勢では、頭部を支えるために首から肩にわたって筋肉負荷が大きくなり、血行を妨げ凝りや痛みを誘発することになるでしょう。
正しい姿勢すなわち着席中の身体に不自然な負荷が掛かるのを抑制する姿勢を取ることで、血行の維持が見込めます。椅子に座る場合、背もたれによりかからず背筋を100%伸ばした後20%ほど緩めたくらいの状態が、首・肩・腰に負担の掛かりにくい姿勢とされています。
さらに有効な対策として挙げられるのは、ストレッチやマッサージなどで筋肉を柔軟にすることです。同じ姿勢を長時間維持することで筋肉がこわばり血行不良に繋がるのであれば、定期的に筋肉をほぐして血行を保つことで、凝りや痛みの原因を回避できるというわけです。
凝り軽減のストレッチは多種多様です。凝りに伴う緊張型頭痛など、症状が現れている場合にはそれに対応したストレッチを行うのが適切と言えるでしょう。首・肩・腰の血流を回復させたい場合、軽く首を回す・肩を回す・背筋を後方に反らせて伸ばす・腰を回す・腰を前方に曲げる前屈、などの方法が有効と思われます。
凝りや痛みの発症を事前に防ぐには、デスクワーク1時間につき1回のペースでストレッチを行うことが効果的とされています。
オフィスで使用できるストレッチグッズの紹介
ストレッチは道具を使わずとも行えます。しかし自分に合ったグッズを用いることで、より効果を実感できるとも言えるでしょう。オフィス内でも使用できると思われるグッズについて見ていきたいと思います。
マッサージボール
凝りのある部分に押し付けることで筋肉をほぐし、血行促進効果を得られるストレッチ用グッズがマッサージボールです。適度な硬さのボールが患部を刺激することによって、まるでマッサージを受けているような心地よさが得られます。
床に仰向けになり、肩や腰・膝の下にマッサージボールを置いて力を抜くだけで、硬すぎず柔らかすぎない絶妙なボールの圧が凝りをほぐしてくれることでしょう。
床に寝転がれないオフィス環境の場合、椅子に座った状態で患部と椅子の間にマッサージボールを置いて使用することも可能です。
ダンベル
適度な筋トレで筋肉を動かすことも、凝りやそれに伴う痛みの予防に効果的と言えるでしょう。その際により効果を高め、オフィス内でも使用できるサイズのグッズと言えるのがダンベルです。
オフィスワークでの疲労が蓄積しやすい筋肉としては、背中に位置する広背筋や、肩から首周辺に位置する三角筋・僧帽筋などです。ダンベルを使ってそれらを鍛える筋トレ方法としては、ローイングとショルダープレスが挙げられます。
【ローイングは広背筋発達に効果があります】
まず両手にダンベルを持ち、両脚を腰幅に開いた状態で膝を少し曲げ、背筋を伸ばしたまま上体が床と平行になるよう前方に屈みます。そして息を吐きながら両腕のダンベルをウエストまで引き上げ、降ろす動作を繰り返します。その動作10回で1セットとなります。
【ショルダープレスは三角筋および僧帽筋を鍛えるのに効果的です】
まず両手にダンベルを持ち、肩の高さで構えます。そして、息を吐きながら、手首から肘まで一直線になるようにして両腕を頭上に引き上げ、肩の高さまで降ろす動作を繰り返します。その動作10回が1セットです。
なお、筋トレはあくまで凝りや痛みの予防策として有効な手段となります。凝りや痛みが酷い場合には、それに応じたストレッチやマッサージを行うのが適切です。
まとめ
以上のように、オフィスワークに伴う凝りや痛みの原因は、筋肉のこわばりによる血行不良であるという点を踏まえながら、その予防改善策について調べてまいりました。
特に有効なのは、作業1時間毎にストレッチなどで身体を動かすことであると考えられます。それに応じたグッズを活用することで、さらなる効果が期待できることでしょう。