「寝つけない」「眠りが浅い」など、充分に睡眠が取れていないとスッキリせず、能力やパフォーマンスの低下を引き起こしてしまうことでしょう。
良好な睡眠環境はぜひとも確保しておきたいところですが、それを実現するにはどのような方法が挙げられるのでしょうか?寝つきが悪くなる原因と照らし合わせながら考えていきたいと思います。
寝つきが悪くなる、または眠れない原因は?
不眠には主に3つのタイプが挙げられます。
- 「入眠障害」・・・床についてもなかなか眠りに入ることができず、そのまま数時間経過してしまう症状を指します。
- 「熟眠障害」・・・寝ついた後も眠りが浅いままで、しばしば目を覚ましてしまう症状です。
- 「早朝覚醒」・・・朝早く目覚めてしまい、それ以降眠れなくなってしまう状態を意味します。
また、熟眠障害と早朝覚醒は合併するケースが多く、両者を合わせて睡眠維持障害と見做す場合もあります。3タイプとも症状は異なりますが、いずれも目覚めている間の活動の質を低下させるものと言わざるを得ません。
では、このような不眠は何が原因で引き起こされるものなのでしょうか?考えられるものとしては複数挙げられます。1つずつ見ていきましょう。
ストレス
心理的な緊張を抱えていると、リラックスした状態がなかなか保てません。そのため不眠の症状が現れ、充分な睡眠が取れないことになってしまいます。継続してストレスを抱えている場合などには不眠症状が頻発します。
過度なストレスともなると、身体や心の病を誘発する恐れもあるでしょう。
体内時計の乱れ
人間の身体には、活動状態と休息状態を1日の間に周期的に繰り返す「体内時計」というメカニズムが備わっています。その働きにより、日中は活動し夜間は眠りに導かれるのが一般的となるわけです。
しかし、不規則な睡眠の取り方が継続するなど、生活習慣に乱れが生じると体内時計にも影響し、不眠を招く要因となります。
就寝時の環境
強い光や大きな音、蒸し暑さの不快感や過度の寒さなどは睡眠を妨げる要因となります。
また、デジタル機器の放つブルーライトは脳を活性化させてしまうため、就寝前に使用すると睡眠の質に悪影響をもたらしてしまうでしょう。 コーヒーや茶類に含まれるカフェインやタバコに含まれるニコチンには覚醒作用があります。就寝前に摂取すると目が冴えてしまい、寝つきづらくなってしまうでしょう。
病気
病気が起因する症状、あるいは治療に用いている薬の副作用により、不眠に陥るケースも考えられます。不眠自体も、症状が重くなると不眠症という病気にカテゴライズされることになります。
睡眠と運動の関係
身体を動かすと、その疲労感が作用して良く眠れる。体験を通してそう実感されている方も少なくないと思われます。確かに、運動によって深い睡眠が誘発されることは、医学的な研究でも示されています。
睡眠は、眠りが浅く脳が活動状態にあるレム睡眠と、深い眠りのノンレム睡眠とに大別できます。
運動をすると、ノンレム睡眠の比率が高くなり、意識を司る大脳を含め身体が休息する時間が取れるようになります。また、ノンレム睡眠中には成長ホルモンの分泌を促し、疲労した体内組織を修復する作用があることも知られています。「グッスリ眠ると疲労が取れる」という背景には、そのようなメカニズムがあるわけです。
しかし、睡眠に好影響を与える運動も、1回限りでは効果が見込めません。日々の生活内で習慣付けてこそ効果が発揮されます。
良質な眠りに繋げるための運動法としては、有酸素運動と無酸素運動の併用が有効です。
有酸素運動は、ある程度の時間継続して少~中程度の負荷を身体に加える運動を意味します。主に体内の脂肪を燃焼してエネルギーを得、その際に酸素を利用するためこのような名称となっています。主な具体例としては、ジョギングやウォーキングが挙げられます。
もう一方の無酸素運動は、短時間で大きな負荷を筋肉に加える運動です。エネルギー源として主に糖質が用いられ、エネルギー変換に酸素を必要としないためこの名称となっています。主な具体例としては筋トレが挙げられます。
筋トレなど無酸素運動を行うと、筋肉が発達し、平常時のカロリー消費を示す基礎代謝が高まります。そうなると有酸素運動の効果がより一層向上することになるわけです。
さらにもう一つ、就寝前にリラックスを目的とした運動を行うこともお勧めです。 それにはストレッチやヨガなどが適していると言えるでしょう。それらの運動には、心拍数を上げることなく身体をほぐす特徴があります。自律神経の1つ・安静状態を司る副交感神経を優位にし、睡眠の質を高める効果が期待できるでしょう。
対策について
最も有効な不眠対策は、規則正しい生活習慣と言えるでしょう。ストレスがもたらす悪影響の軽減、体内時計の正常化、睡眠環境の改善、病気の予防や改善、という具合に、規則正しい生活習慣は、不眠を招く原因への対処法を全て網羅しています。
正しい生活習慣の基本となるのは、適度な運動、栄養的にバランスが取れた食事、充分な睡眠です。そのうち、運動については前項で見てきた通りと言えるでしょう。残り2つ、食事と睡眠について、どのような不眠対策が考えられるか見ていきたいと思います。
食事
不眠の抑制あるいは良好な睡眠への導入に効果がある栄養素としては、乳製品や青魚に含まれるトリプトファン、肉類や魚介類に含まれるグリシン、海藻類に含まれるミネラル分のマグネシウムなどが挙げられます。
また、豆腐や納豆などの大豆食品やバナナ・発芽玄米などもそれぞれ、睡眠に有効な作用を持つ食材として挙げられます。日常的にそれら食品をバランス良く摂取し、不眠の症状が現れた際には積極的に取り入れることが有効と考えられます。
睡眠
音や光・ブルーライトなど、睡眠の妨げとなるものを遮断し、温度・湿度を適度に保つことが重要です。就寝前にはカフェインやニコチンなどの摂取を控えるべきでしょう。枕や敷布団など、寝具についても自分の身体に合ったものを用いるのも快適な睡眠の助けとなります。
また、自律神経の副交感神経側を優位にし、身体を休息モードに整えることも重要です。そのために、自分に合ったリラックス方法を取り入れることが効果的と言えます。入浴により体内の血行を良くするのも手段の1つです。
朝、目覚めた時、太陽の光を浴びるのも、体内時計を整える上で有効とされています。
まとめ
以上のように、寝つきの悪さの原因となるものを挙げ、それらの対策として最も有効なのは運動・食事・睡眠を基とする生活習慣の改善であることを見てまいりました。
病気による不眠の場合には医療の力も欠かせません。自らの不眠状態を適切に見極め、対処することが重要です。